京都地方裁判所 昭和60年(わ)648号 判決 1985年11月07日
本籍
京都府八幡市八幡清水井一九四番地
住居
同市八幡山田一八番地九
農業
中西仙太郎
大正一〇年八月二〇日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山田一清、弁護人(私選)堀和幸各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役五月及び罰金六〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、自己の所有する京都府八幡市八幡一ノ坪八二番ほか四筆の田を昭和五九年三月五日二億九五八三万円で売却譲渡したことに関して右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会事務局長長谷部純夫、同連合会八幡支部長西村昭和らと共謀のうえ、自己の実際の五九年分分離課税の長期譲渡所得金額は一億四五〇一万二三〇五円、総合課税の総所得(農業所得)金額は二一万二〇〇〇円で、これに対する所得税額は三九四八万四一〇〇円であるにもかかわらず、株式会社ワールドが有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から二億円の借入れをし、その債務について自己が連帯保証人となり、右ワールドが破産したことから右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡収入で同年三月二五日に一億三五〇〇万円を履行したが、右ワールドに対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどしたうえ、同六〇年三月五日、京都府宇治市大久保町井の尻六〇番地の三所在所轄宇治税務署において、同署長に対し、自己の五九年分分離課税の長期譲渡所得金額は一〇〇二万六九五五円、総合課税の総所得金額は二一万二〇〇〇円で、これに対する所得税額は一六八万八六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右の正規の所得税額三九四八万四一〇〇円との差額三七七九万五五〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の検察官に対する供述調書(検17、19ないし25)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、証明書及び報告書(謄本)
一 辻村武二、中西春江、堀尾源三郎(五通、但し、検9は謄本)、西村昭和(六通、但し、検10ないし14は謄本、検15は抄本)、長谷部純夫(二通、謄本)、鈴木元動丸(謄本)の検察官に対する各供述調書
(法令の適用)
判示所為 刑法六〇条、所得税法二三八条、一二〇条一項三号(懲役刑と罰金刑とを併科)
労役場留置 刑法一八条
執行猶予 刑法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 松丸伸一郎)